REAL CONTROLLER〈リアル・コントローラー〉

散りばめられるルール 歪みまわる空気 偏る価値

アウトオブコンロトールのなかの必死のコントロール

自分の意思と他人の意思が出入りする身体

 

管理” 支配” が混在するなか

いま わたしたちの身体は何にコントロールされ 何をコントロールしているのか―

 現代における いくつかの身体の実態を並べたオムニバス

2016 年6 月3 日、5 日(日)@横浜 BankART Studio NYK 1F Kawamata Hall

振付・構成・演出 奥野美和

音楽 藤代洋平

出演 黒須育海 シマダタダシ 鈴木清貴 長屋耕太 濱田陽平 松尾望 薬師寺綾

照明 加藤泉

演出補助 竹内英明

フライヤーデザイン 大友哲郎

プロモーションビデオ 奥野美和 阿部真理亜

制作  N///K 

REAL CONTROLLER チラシ
MiwaOkuno_REALCONTROLLER_20160510-3Web.p
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創作にあたり____________________________

 

 

約6年前、ソロ作品「【00】〜シレイ〜」という作品を発表した。

当時、”人工”と”自然”の共存に興味があった私の頭の中で”ナンバーの書かれた身体”のイメージが大きな理由も根拠も無く強く拡大していた。

 

同時期、私は2歳年上の姉と都内に住んでいた。その時期姉は強迫性障害と摂食障害が混ざり合い、家から一歩も出る事が難しくなっていた。部屋から出るのも簡単ではない状況の中で、どうにか出てきた時には

「あれをしないと___◯◯をこの位食べないと___。いつも隣で忙しくしてくれてありがとう___。」と、私が話に入る隙間も無いような喋り方をしていた。その姿はまるで何かもう一人の彼女が彼女に何かを言い聞かせ必死に自分を動かそうとしている、又は自分でも無い誰かが彼女に「そうしなさい」とでも指令を送っている様な、精神と身体の循環を彼女に見た。

そんな姉との日常の中、渋谷など都内を歩いている時にもまるで人をモノのように避けて歩く人の姿や、何かを見ているようで見ていないような目をしながら歩く人々を見ていると背中に「〜しなければねばならい」と書かれているようにでも見えてくるのだった。

私は自分の頭の中にあった”ナンバーの書かれた身体”は、”指令=ナンバー”によって動かされるこの時代の人間の身体の実態を再現したビジュアルなのかもしれない、と捉え始め「【00】〜シレイ〜」に落とし込んだ。

 

 

それから6年が経った今、放射性物質汚染、マイナンバー、軍事的思考、経済第一主義、デジタル技術など、

精神と身体を二の次とした人間の生み出す物事が着々と具体的に進行している日々に生きている。

もしかしたら私の人工と自然に対する興味が単なる興味では終わらない事態となり、人間が自分自身をコントロール仕切れない時代が来ているのを大きく感じ、今回の作品の発表に至っているのかもしれない。

 

 

本作では、意思を持つ隙間も無くまるで空っぽになった精神と身体の隣に存在する”コントロール”に着目する。

そして私たちをコントロールする”根源的支配の源”は何を指すのか、どこにあるべきなのか、誰が生み出すのか、またそれは私たちの手の中にあるのか、ないのか_________を問いたい。

政治・情勢などの場面に問わない、人間の内側と外側に存在するあらゆるコントロールの本当の意を先ず理解する事が現代を生きる上で大きなヒントになるのかもしれない。

 

なによりも生身の身体はこれ以上の進行と進化についていく事が出来るのかが気がかりでならない。

そして”調整・管理”であるべき”コントロール”の概念が、これ以上の”支配”に変貌することがないことを願うばかりだ。

 

 

 

当日パンフレットより

Text by 奥野美和